「松島」のルーツ・雄島
 観光地・松島は、平安時代に「霊場」として多くの人が祈りを捧げるために訪れたことにルーツを発します。自らの足で歩き、山を越えて旅路を進め、ようやくの思いで到着した松島。神々しく広がる海とそこに点在する白砂青松の島々の姿に、人々は極楽浄土の世界を重ね合わせたのです。
霊場として知らしめたのは、見仏上人という一人の僧侶。上人は松島の雄島に籠もって修行し、法力を会得しました。名声は京の都まで届き、偉業が讃えられ天皇から千本の松が贈られたそうです。そのときにこの地が「千松島」と名付けられ、その後「松島」と呼ばれるようになったという説もあります。


「松島」のルーツ・雄島


「松島」のルーツ・雄島


「松島」のルーツ・雄島


 時代の変遷とともに、景色の美しさを求めて訪れる人が増え、松島の霊場色は薄れてしまいました。いまや雄島に足を運ばれる人もそう多くありませんが、松島の歴史を知るために欠かせない存在です。一度足を踏み入れると、心静かに祈りを捧げる場所だったことが、空気感から伝わってきます。


「松島」のルーツ・雄島


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「松島」のルーツ・雄島


 毎年お盆には、霊場松島の頃から七〇〇年以上続く供養行事「瑞巌寺大施餓鬼会」が行われます。霊場松島の原点に返り、松島らしいお祭りをしたいという思いから、東日本大震災が起きた年に「松島流灯会 海の盆」も始まりました。
 震災で巨大な津波が押し寄せても、美しい多島海景観が大きく変わることはありませんでした。古くから心のよりどころだった松島が津波を乗り越えたことは、何か深い意味があるのではと感じています。

「松島」のルーツ・雄島


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佐藤 綾/宮城県松島町生まれ。大学卒業後、松島町役場入庁。現在は観光担当部署に所属し、仕事・プライベート両輪で観光推進・まちづくりに取り組む。

雄島
JR仙石線松島海岸駅徒歩6分。浪打浜駐車場そば。


   
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